JFF #701D 辻善光選手レポート
2021年4月、TeamZenkoの辻善光氏がOnebyESU JFF#701Dを購入された時のインタビューを再編集してお届けします。
この記事と写真(JBCFレース写真以外)は東京サンエスが製作し所有するものです。取材日:2021年4月上旬(再編集日:2021.10.18)
・プロ選手が自費でバイクを購入する場合、価格は非常に大事なんです。大切なことは、価格と物のバランスが優れたものであること。以前にも一度、第一線を引退したことがあり、その時にもクロモリを選びましたが、高額で良いものは沢山ある中で、今回は自分が乗ってきた色んなカーボンバイクに遜色ないどころか、カーボンバイクを越える走りを感じたので選ばない理由はありませんでした。価格がカラーオーダー前提であることも大きな魅力です。
・MTB乗りだったこともありオフロードも好きなので、走りも良くてオフロードも走れるバイクを探していたこともあって(実際そんなバイクは探しても見つからなかったのですが)、それがたまたまサンエスに伺った時に試乗させてもらった瞬間に、これだと決めたのです。
カーボンディスクバイクのように剛性バランス軸が低くなりタイヤを支点に振り子のように振れることなく、このバイクは8の字的な振れ方が可能なので、行きつ帰りつの動きによる推進力が発生し、つまり気持ちいいゾーンが大きい。
アウターでこのままいくか、インナーに変えるか、迷った時に変速せずに踏み切れる。
・決めた理由を単純に言えば、上りで踏み出した時の重さが一切なかったこと。バネ感とともに前に進む感じがしました。それはヘッド上下1-1/8"のカーボンフロントフォークとフレームとのバランス(装着フォークはOBS-RBD-TH 700C)、最近のガチガチバイクには無い柔らかさ(言い方を変えると違和感)がフロントフォークにもあり、これは楽しいだろうな、と瞬時に思いました。晴れていても雨が降っていても、アスファルトでも砂利道でも、イケる感じがする…そこがやっぱり大事なんです。実際に、感覚的にヤバいと思うゾーンがかなり奥にあり、自分は全然遊べる範囲内で走っているのに、一緒に走る仲間から「むっちゃ飛ばしてましたねぇ~!!」と言われるくらいなんです。
・JBCFのE1で現在「TeamZenko」として走っていますが(2021年4月の段階)、このバイクはクロモリだからとかグラベルもいけるとかではなくて、単純に乗りたかったバイクを色々考えてきて、これしかなかった、ということなんです。つまりその延長線でレースに使用しているということで、僕にとってみれば、ごく自然なことなんですよね。
・廻せなくなったら踏めるし、踏めなくなったら廻せる…調子いい日は廻すし、調子悪い日は踏んでいく…飛ばすもゆったりも、どちらでもいける…そんなバイクなんです。
JBCF(E1)レースにJFF#701Dで出場した。フレーム自体が横風を受けにくいこともメリットになる。
・最近でこそ多くなっていますが、4年くらい前からロードバイクに28Cタイヤも使っていました。オフロードも走りたかったので、更に幅の広いタイヤの選択に抵抗がありませんでした。そもそも奈良の環境の中でMTB育ちでもあるのでオフロードへの抵抗もなく、バイクのコントロール性を重視して荷物も自転車に積むことなく出来る限り背負って行きたいんです。今まではオフロードにもロードバイクとロードタイヤで行ったりしてましたが、このバイクは太めのグラベル系タイヤも装着できて荷物を背負ってもタイヤの吸収力で肩もしんどくならないんです。
オフセット変換システムを搭載したOBS-RBD-THフォーク、オンロードは48、オフロードでは53に設定(使用フレームサイズ510mm)することで適正なバイクコントロールが可能となる。
オフロードで使用するリッチーの「ALPINE JB 700×35C」
・僕は日本でのグラベル(ドロップハンドル)系の最適なタイヤサイズは700×35Cだと思います。シクロクロスは33Cでそこから約2mm違うだけでかなり余裕がありライドが楽しめます。路面状況で700×40C辺りが必要なのであれば無理してドロップハンドルで乗るようなことは無いと思います。
・このバイクは、雨や砂利でも挙動が不安にならずに、全くそのまんまなんです。フレームが上手くいなしてくれるんですね
カテゴライズで評価されない方が良いと思いながらも本格レースで使用していることが正直な驚きだった。しかし彼は試乗時に「これはレースバイクだな」と思ったと言う。そしてオフロード含め純粋に楽しめるバイクであるとも感じてくれていることが嬉しく、JFF#701Dが追求するバランス感…「カテゴリーの境界をスタイリッシュに横断するライダーとバイクの関係」そのものだと思った。
2008年国体ロード優勝、2011年ジャパンカップクリテリウム4位など。これまで多くの国内メジャーチームに在籍。シクロクロスでも世界選手権の出場経験がある。またMTBやトラック競技でも実績を残した。TeamZenkoとして活動し、吉本興業のふるさとアスリートでもあり、フィッティングやトレーナーなど活動は多岐に渡る。